2011年9月9日 BSフジ プライムニュース
  
    【テーマ】
  • 『統合本部の議員が見た 政府・東電の事故対応』
    【ゲスト】
  • 熊田篤嗣 民主党衆議院議員
  • 石井登志郎 民主党衆議院議員
  • 緒方林太郎 民主党衆議院議員
  • 福田充 日本大学法学部教授
    【解説キャスター】
  • 小林泰一郎 フジテレビ解説委員


サポート議員3人 が証言 統合本部に入った経緯

 熊田議員「私たちは政府に入っていない立場の人間でした。当時、極限状態にありながらも、何をしていいか 分からない状況があって、その中で、有志の議員でボランティア対策にあたっており、宿舎にたまたま帰った時 に、3月16日だと思いますが、細野さんが震災後初めて宿舎に戻ってきまして、たまたまエレベーターで一緒 になりました。その時に私の方から細野さんに、『何かできることがあったらみんなやりたいと思っています』 とそういう話をさせていただいたのが一つのきっかけになりました。2日ほど経ってから電話をいただき、私は 3月20日の朝から統合本部のメンバーに加えていただいて、一緒にやらせていただくわけになりました」
 石井議員「私は、3月20日に長島昭久議員から電話があって、『今から東京に来なさい』と言われました。 さすがにその日のうちには行けなかったんですが、次の21日の朝一番の新幹線で行きまして、そこから統合本 部に加わりました」
 緒方議員「私は東北へボランティアに行こうと思って、3月19日に東京に来て議員会館で長靴とか用意して いたら、長島昭久議員から電話がかかってきて、とにかく今人手が必要だということで、『今すぐ東京電力に来 て』と言われ駆けつけたら、すごい混乱の状態で、そこから帰れなかったということです」

統合本部では 誰が何を?

 石井議員は統合本部のフロアの様子を図に書いて説明した。


 「まずこれは東京電力の2階なんですけど、大体どこに誰がいたかというと、青が政府や政治家関係なん ですけど官邸控え室におりまして、海江田さんは画面の正面中央あたりですね。赤が東京電力で、画面の向 かいに勝俣会長や西澤社長がいて、横のほうに保安班とか復旧班とか広報班とかがそれぞれあります。その 他に緑が、技術をサポートする東芝や日立の方とかが混ざるべき所に混ざっている、と大体こんなかんじで すかね」

命令がな いと動けない消防

 石井議員「3月23日に3号機から黒煙がいきなり上がったということがありました。その時に、東 京電力の消防車というのは全部、1号機、2号機に対して海水から放水するために使っていたんです よ。そこで、動ける消防の機材があったのは、東京消防庁のだけだったんです。ただそれは、東京消防 庁のミッションとして上から指令されていたのは、4号機の放水に備えよ、ということで待機をしてい たわけです。一つ動けるのがある、3号機から黒煙が上がっている、普通は消しますよね、しかし4号 機の待機の指令が出ています。東京電力は、防衛省や消防庁に対してはお願いする立場なんです。だけ ど現場の中で、指令は4号機に備えてますから、となるとですね、それ以上東京電力はお願いできない わけです。これはまずいということになりまして、ここは細野さんや海江田さんを呼んで、そして消防 庁長官から適切な命令を下ろしてもらわなくてはいけない、とそういう役割ですね」

機能 した?統合本部の評価

 福田教授「菅前首相の判断で作られたということで、リーダーシップや判断に依存せざるを得な かったわけなんですけど、本来であれば、これは最初から統合対策本部というものができる、しか もそれは東京電力が指揮するのではなく、ちゃんと政府の然るべき機関の中に、あらゆる災害に対 応できる統合対策本部というものを作るシステムを、この機会に検討する必要があるんだろうと 思っています」

広 報・情報発信の混乱 政府・保安院・東電の会見

 石井議員「記者の方に、東電と保安院で言っている内容が違うんですけどどっちが正しいん ですか、とよく聞かれました。お互い東電と保安院は、炉の状況に関して同じことを言わな きゃいけないのに、そういう確認事項があまりにも多かったです。だから途中から細野さんが まとめてやりました。立場の違いを乗り越えるのに大変な苦労をしたと思いますが、一番は情 報をちゃんと伝えることですから、そういう意味では手っ取り早かったんでしょうね」

災 害対策本部の機能

 福田教授は次の図を使って災害対策本部の機能を説明した。


 「災害対策本部の機能は主に3つあると思うんですけど、1つ目は、現場でオペレー ションをする、その指揮命令系統をコントロールしていくという機能と、もう1つは、関 係自治体とか民間企業とか自衛隊など、ステークホルダーに対して情報を伝達し、共有し ていく機能というものと、3つ目は、今何が起こっているかということを、記者会見やメ ディアを通じて、情報を発信していく機能という3つの機能が、全部うまく繋がって災害 対策というのはうまくいくんですけど、しかし今回初めてこれほどまでの原発事故という ことで、オペレーションの指揮命令に意識が集中しすぎたために、今度2番目と3番目が どうもうまくいかなかった部分があったかと思います。やはり様々なステークホルダー は、バラバラな組織が集まっているのは当然のことですから、その中の情報をどうやって コーディネートしていくか、情報を共有し、調整して分析していくかというその機能が、 インテリジェンスの機能として1つないといけません。これが今の事態において政府に存 在しない非常に重要なものですので、これからどうやってこれを確立していくかというこ とが、今回明らかになったかなと思います」

汚 染水放出をめぐる混乱



 石井議員「中期・長期的に、これからどうやって原子炉を冷却していくか、放射性 物質の飛散を防ぐか、というようなことについて話をする、これが大体震災の二週間 経った3月27日からできるようになりました。4月1日の会議に、低濃度の汚染水 に関しては、労働基準法に基づいて原子炉を守るために出しますよ、というわけです から、私は何の権限もありませんが、保安院の方に対するメッセージとして、これは 大きな出来事ですから、それは単に出しますよということではなく、慎重に検討して ほしいというようなことを言ったのはありました。その後、細野さんが戻ってきて、 この日のすぐに出すということは止まったんですけど、それから高濃度の汚染水の水 位がどんどん上がってくる、これはもうまずいということで、そこは私の知らないと ころで4月4日以降に急に出されることになってしまいました」

広 報・情報発信の混乱

 石井議員「IAEAに連絡する段階で、本来はそれぞれの大使館に連絡すると いうプロセスが、正直欠落していたんだと思います」  緒方議員「外国のプレスとの関係では、東京電力の1階の所にプレスの方がた くさんいるのですが、そもそも作業環境がすごく悪いことがあったりとかして、 外国のプレスの方は早い段階でこんな所でやってられるか、ということでいなく なったんですね。多分、日本の記者から聞いた話を何となく自分なりに解釈して どんどん外に出したので、当初とんでもない話がけっこう外国で出ました。あれ は、もっと早い段階で日本の記者とは別に外国の人に対して、英語で技術的な部 分もきちっとプレゼンできる人が説明をするという体制があれば、とんでもない 話が出ることも防止できただろうと思います」

統 合本部の議員3人が見た 政府・東電の原発事故対応

 熊田議員「原発に関して安全神話的な部分もあって、危機管理体制につい て普段からマニュアルもなければどうすればいいという意識もなくて、そこ に一番の本質的な問題があると思います。ただ今回この教訓を踏まえた上 で、こういう時はこうするんだ、という危機管理体制を作っておくと、そこ でかなり改善されると思うんですね。ただ、この問題が終わったら危機管理 も終わりになってしまう、というのがこれまでの日本政府の課題だったん じゃないかなと思います。今度、原子力安全庁ができるのであれば、今回の 問題を踏まえた上で、将来に渡って問題意識を持ち続けて、それに対して対 応できるかという組織をきちんと作らなければいけません」
 石井議員「国がもっと前面に出るということを、こういう危機管理の時に は明確にしなくては駄目だと思います。東電が主体的に対処する問題ではな いんですけど、東電のサポートを国がしているということでありましたか ら、それはやはり駄目だと思います。細野さんが言ったことなんですが、 『こういう時のマニュアルというのは、見事に役に立たない』と言うんです よね。つまりその時には、人に権力を持ってもらって、その権力と決定権限 のある人が、その場のさばきで決めていかなくてはなりません。もちろん機 能するマニュアルであればそれに越したことはないのですが、今回のマニュ アルが機能しなかったのであれば、それをどう見直していくか、そして国が 前面に立つかというところだと思いますね」
 緒方議員「国の法律とか総理に与えられている権限というのはバッチリそ ろっていて、今回の対策でも、総理は原子力災害対策本部長として与えられ ている権限は絶大なものがありまして、正直、法律に基づいた体制組みが しっかりしていれば、もう少し回り方が違ったんだろうなと思います」

統 合本部に詰めた3議員 今後のエネルギー政策

 熊田議員「原発は安全神話の中で進んできましたが、今回のことで、 決してそうではないことを痛切に感じたわけですから、将来的には脱原 発の方向へと進んでいかなければいけないと思っています。ただ一方 で、今日明日急に止められるわけではありませんから、その中で代替の 新エネルギーの開発や省エネですとか、同時にもっと大きな課題として は、これまで溜まってしまった放射性廃棄物をどうしていくかというの は、真剣な取り組みが必要じゃないかなと考えています。ただ、単に ソーラーや風力発電などが言われていますが、それで全て補完できると 正直思っていません。さらなる新たな代替エネルギーを考え、それが次 の成長戦略にもつながっていくと思っていますので、そういった大きな 視野でエネルギー政策全般を問い直すべきだと考えています」
 石井議員「関西の例で言うと一番分かりやすいのですが、震災前の日 本全体の原子力の依存率は3割、関西では5割なんですよ。大飯・高 浜・美浜という3つの原発をメインに11基ある内の7基が今後10年 間で40年を迎えるんです。つまり、スリーマイル島の教訓から分かる ように、これから我が国は30年間新設の原発ができないわけです。そ して、関西の半分以上をかかえている大飯・高浜、・美浜が、放ってお いても差し替えできなければ、少なくなっていくわけです。ですから、 原発を現状維持するというのは論理的に不可能なんです。そういう意味 では、現実的に天然ガス等に頼っていかなければ回っていきません。何 を選択するよりも対応年数を迎えるわけですから、そういう中で現実を しっかりと見極めながら、30年先をどうするかということと、10年 先をどうするかということに関しては別の議論になりますので、ちゃん と時間軸を区切って議論をしっかりとしていきたいと思います」
 緒方議員「全てを再生可能な自然エネルギーで代替できるということ ではないと思います。仮に原子力発電の全てを火力に置き換えたら、電 気料金がすごく上がりますよ。耐用年数がきた原子力発電所を廃炉にし ていくことであれば、それによって電気料金が上がり、我々の生活にの しかかってくる、ということについては目を背けてはいけないと思いま す。これは増税みたいなものですので、負担が増えることをあえて我々 は受け入れなくてはいけないんじゃないかと思います」
 福田教授「原子力安全庁という組織は駄目だと思います。安全管理を するというのは、まったく今までとマインドは変わっていません。それ よりむしろ、危機管理の制度を変えていかないと、リーダーもマインド も変わっていきません。やはりオールハザードで対応できる、インテリ ジェンス機能を持った危機管理庁なようなものを内閣の下に作る。災害 対策基本法で決められていて権限を持っていても、結局現在の首相はそ れを使えないんだったら、やはりもっと強力な非常事態法とか緊急事態 法という制度を変えていくことも必要かと思います」